11/30/2018

Bキャブ

 今日はBキャブの話をしようと思いますが、自分でやってみようか?というユーザーさま向けにRUMBLEでためているデータと合わせて私なりの見解を書くだけなので「そんなこと分かってんだよ!」というようなハイレベルな方は見ないでくださいませ。

  そのルックスも含めてSHOVELまでのハーレーと非常に相性の良いキャブレターです。 今でも新品が手に入るくらいモデルとしてのライフが長いキャブですが、それもそのはずで本当に扱いやすく良くできたキャブレターだと私は思います。 体感的な錯覚もあるのかもしれませんが、私はEキャブよりもパワーが出るような気さえします。
 よくキックスタートとの相性が良くないと言われたりもしますが、それは全くの迷信でキックとの相性も抜群・・そもそもそこの相性などは無いように思います。 キックとの相性が良いと言われる代表のSUにしてもその根拠が私にはよく分からないですし、そもそも燃焼室へ混合気を送り込むエンジンを掛ける前の一連の動作をきちんとしてあげればどんなキャブレターでも2~3発で簡単にエンジンは掛かると思います。 事前にうまく吸わせてあげられないと何十発キックしてもウンともスンともですが、それはティクラーを使わない場合のSUも同じですよね? 要は事前に燃焼室へ混合気を適量送りむ事が重要なのだと考えています。

  そのエンジンを掛ける前の一連の動作で肝心なのがこのエンリッチナーですね。 セルのついている車両ならこれを引き上げておいてキュルキュルとセルを回せばあっという間にエンジンは掛かりますが、キックオンリーの場合はこれを引き上げておいて「スロットル全閉」で空キックを2~3回して燃焼室へ混合気を送り込みます。 
  この「スロットル全閉」ってのが重要です。 写真で見えている二つのマイナススクリューの下側、アイドリング調整スクリューにアイドルくんてきな物を付けている方はキックする前にこのスクリューを締め込んでアイドリングを少し高くしてからキックする方が少なくないと思うのですが、そうしてしまうと空キックで混合気を吸ってくれません。
 キャブの入り口へ強制的に蓋をするチョークとは機構そのものが違うのでエンリッチナーの効果を引き出そうとするとスロットルはチョーク式とは真逆の全閉が理想です。
 このとき空キックをした際にシュコッとかブシュッとかクパッとか説明しにくいのですがスロットルをほんの少し開けてキックした音とは全く異なる独特の吸い込み音が聞こえます。 これがエンリッチナー経路から混合気を吸っている証ですので、この音をさせられたキックを2~3回したのちイグニッションスイッチをONにしてキックすればあっさりさっくりばっちり掛かります。
 エンジンが無事に掛かったら様子を見ながらエンリッチナーを走行状態へ戻してエンジンを止めないように注意しながらセッティングへ移ります。

この根元にスプリングが付いているプロペラくんがアイドリング~低速域の混合気を調整するミクスチャースクリューなのでこれをクルクルして調整していきます。
 固定ベンチュリキャブの大多数の法則に漏れず、Bキャブもこれを開けると燃調は濃くなり、締めると薄くなります。
 例外もありますが、全閉から1回転~1回転半開けの範囲で良い所が探せるハズですので取り付け時は1回転+ちょこっと開けておけばあとは微調整でセッティングが出せると思います。 一回転まで開かない場合はパイロットジェットを小さくしたり、逆に2回転近くまで開いてしまう場合はジェットを大きい物へ交換すると良くなる場合が多いです。
 あくまでも参考程度に1200はパイロット#31~#33 メイン#76~#80 1340はパイロット#28~#31 メイン72~#76で落ち着く事が多いですがこれはエンジンの仕様や、マフラー、さらには乗り方などによって左右される事もありますのであくまでも参考程度に。
 これも重要なのですがS&Sに限った話ではないのですが、S&Sはことさらエアクリーナーによる影響を受けやすいという事も頭へ入れて取り掛かるとセッティングが出しやすいと思います。 理想はS&S純正のでっかいエアクリーナー(厳密にはバッキングプレート)ですが、まずそれは付けないですよね・・ Bキャブは何もつけない状態もとても良いのでまず最初のセッティングはその状態でスタートすることをお勧めします。 そこでほぼほぼ良い感じになってからつけたいエアクリーナーなりを装着して煮詰めていくとドハマリすることも少ないかと・・・
 これらに加えてよく言う「油面」もかなりセッティングへ影響してくるのですが、あまりに長くなってクレームが来そうなので今回は割礼いたしますが、常識的な番手のジェットを装着すると薄すぎる症状や濃すぎる症状が消せない場合などはミリ単位で油面を微調整するとあっさり改善されたりもします。
 また機会があったらやります~~~

11/28/2018

よかった~

 迷宮入りしかけていた症状がようやく改善されて今日は気持ち良く作業開始できます。
 始動性・走行に問題はなく、エンジンが温まってくるとアイドリングでプスッとエンジンが止まってしまうといったものでした。
 これはよくあるトラブルなので、いくつか考えられる原因の中からあたりを付けて探っていくわけですが、これといって悪いところがなく、症状も改善されないままだったのですが無事に解決!!

  ここが原因ではありませんでしたが、先日のSHOVEL同様、タペット周りを分解・洗浄して組み直しておきました。
 この車両はJIMSのPGタペットが組まれているので調整にコツと時間が必要なのがチョット・・ですが、機能は文句なしです。
あ、そうそう、このエンリッチナーのつまみがクルクルになってしまっていたので修理しておきました。 このプロペラくんが空回りしてしまうと困りますよね・・

 とにかく改善されてひと安心です♪

11/23/2018

40

 今日は写真無しの完全なムダ話なので作業報告を見たい方はスルーしてください。

 先日新型FORD-GTの受注開始・・というニュースを目にして思い出した出来事を。
 ニュースには実写の写真もついていて、ほぉ~~こりゃスーパーカーそのものだね・・と一生縁のないような車の写真を見ていたんですが、そんな庶民代表の私ごときがFORD-GTに触れる機会があったんです!! まじめに生きてるとご褒美があるもんですね・・
 ホントに神奈川?と言いたくなうような山奥にあるRUMBLEですが、まさかこんなところに本物のFORD-GTが!! しかも全バラくんにしてあれこれ・・なんて日本中で何人がこんな事が出来るのか?という幸せな経験もさせていただきました。
 そもそもはGT40だったハズ(40の由来や、その輝かしい戦歴などは皆さまお得意の検索で参照してください) その名車を今から十数年くらい前にFORDが復刻して、とあるお金持ちさまが入手した個体をチューニングするためにRUMBLEのお向かいさんのガレージへホカホカの新車が入庫してきたんです。
 スゲーの入ったよ!!と声を掛けていただいて、仕事ほっぽり出して夢中で見入ったもんです。
 しばらくはコ~フンが収まらず、冷静さを失っていましたが、販売するにあたってどうしても40を車名に入れたかったのに、FORD-GT40は商標登録されていてしまっていて、最後まで頑張ったものの、本家のFORDが「40」をつけられなかったという残念なエピソードを聞かされたあたりから熱が冷め始め、途中であれこれ難癖つけ始めてしまいましたが、でも凄い車でした。 各部の演出も感心させられるものでしたし、こういった部分は何十年たっても日本車は追いつけないんだろうな・・と当時はしみじみ思ったもんです。
 お向かいさんが引っ越しされてはや数年。 そもそもあの個体以外にFORD-GTの実車をあれから十数年見た事もありません。 さらにGT以外にも刺激的な車ばかり入っていて、何よりもその作業の内容も普通では見られないような病的な物だったのであのころは楽しかったです。

11/22/2018

決めますか?

 ここへ来てかなりドタバタしております。 雑用って書いてしまうと失礼かもしれませんが、作業以外のあれこれが続いててですね、年末なので仕方ないのですが、私があれこれ動いてしまうと当たり前ですが作業場は完全に止まってしまいます。やっぱり一人ってのはよくないと今さらながら痛感しています。 来年の目標はスタッフを雇うことに決めようかな・・と。

  写真を撮って載せられるような作業はあまりなかった数日でしたが、数日前の作業を。
 ハイドロユニットを完全に脱脂していつものチェック→1か所のみ微妙な感じなので新品へ交換しました。
  組み付け前にこれでもかってくらいキレイにしておきます。 せっかくなので組み付け前にタペットスクリーンも洗浄しておきました。
  オイルプレッシャーゲージがこんななので同じものへ交換しておきました。
 この車両は無事に納車いたしました。
  SHOVELチョッパーも進めています。
 ペイントや、表面処理などのためにもう一度バラバラにするのですが、ここでは走行できるように組んで行きます。
 もちろんメインドライブ周りはリフレッシュしておきます。 スプロケットシャフト周りも同様に。
  アクスルシャフト、スペーサーカラー、キャリパーサポートなども製作してリヤまわりも仕上げます。
  先日まではとりあえずあてがって仮組みでしたが、各部本組みしてこんな感じ(シートはポジションチェック用に仮の物が載せてあります)
  もともとキックのついていないモデルがベースとなっているのでキックキットを組み付けます。
  当たり前ですが、各部追加工したり、対策品に交換したり、すんなりとは組めません。
今日は業者さまからのPANヘッドの作業をします。

11/19/2018

かくご

 もしかして?けっこうな作業になるかも・・・
 私も思っていましたが、オーナーさまも思っていたかもしれません。

  そんな予感がしていたからなのか、オーナーさまも「急いでないす」と言い残して預けていってくれていたこのSHOVEL
 症状としてはツーリング中に給油後エンジンを掛けたら激しい異音で慌ててエンジン止めて以来掛けていないとの事(私も怖くて掛けていません)そのままレッカーで入庫。 キックでクランキングさせればその音は十二分に確認できるので。
 音を文字であらわすと、かなりうるさいリールを巻いているような感じでジ~~コジ~~コと回転運動に連動して鳴っている感じ。
 打音を出すようなトラブルは絞りやすいのですが、回転と連動してとなると・・・
 アーリーショベルまでのジェネレーターケースモデルであればそのトラブルを引き起こす要因はいくつか思いつくのですが、これはコーンショベル。 カムギヤ周辺しかエンジン内部で思い当たるところがありません。
 しかし、こいった場合は決めつけてかかってしまうと見えるハズの所を見逃してしまう事が多いのであえて遠回りして攻めていきます。

  音の確認でクランキングさせるのも気が引けるほどの音量・音質に加えて多少コツコツと振動も感じます。
 プッシュロッドを外しても変わりなし。
ここまで行った時点で犯人摘発!!
 エンジン内部でなくて良かったですが、遠回りしたおかげで時間はずいぶん掛かってしまいました・・・
 とにかく良かったです。 オーナーさまがこれを見ていてくれると良いんですが・・明日ご連絡いたします~

11/16/2018

じゅんび

 日中はほんとうに穏やかですごしやすいのですが、さすがに11月も中盤を過ぎて朝晩は冷え込むようになってきましたね。
 バイクに乗るときの防寒着はもう何年も変わっていないのですが、年々寒さがつらく感じるようになってきている気がします。  これも歳のせいなんでしょうか? 暑さにはまだまだ対抗できていますが、寒さには完全に負けちゃってます、情けない・・・ 今年は軽くて暖かい新素材的な防寒着を新調しちゃおうかと揺らいでおります。
 

  作業の方は納車準備をあれこれと。

 車検も取得できたこちらの車両をお渡し準備。
  続いて1000kmも余裕で超えて、いつでもお渡しできる46EL
 先日高速道路でなかなかの距離を走ったので最終チェックです。
 エンジン・ミッションともオイルを交換。
  普段の下道での通勤程度ではまったく問題が無くても高速道路である程度の距離を走行すると見えないものが見えて来るんです。
 その代表がプライマリーチェーンオイラーです。
 これが少なすぎると高速での連続走行後にチェーンのたるみが明らかに大きくなるので分かりやすいです。


  普段は停車してこの×印のあたりに垂れるオイルの量をあてにしたりしますが、多すぎ・少なすぎという感じで
ある程度のところまでしか詰められないので。
  エンジンを掛けた状態でここから実際に垂れるオイルの量を見て調整もできますが、これも出ていることは確認できますが、やはりここだけで最終的な吐出量を決定してしまうのは心もとないので上記のあれこれを踏まえて決定していくようにしています。
  続いて高速走行後に確認できる6V車両は大事な発電量の調整です。
 低回転では安定した発電ができず、高回転では過充電の傾向になるGENですが、カットアウト+32Eはとくにその傾向が強いのでバッテリーを少しでも長持ちさせるために気を使います。  高速走行時はライトを点けてあげるのも有効です。  まずは液量のチェック・必要であれば補充してあげます。

液の減りが多いと思ったら3rdブラシを動かして発電量を調整しておきます。

 こちらもお渡し準備完了です。

11/15/2018

うかつでした

 先日の厚木のスワップミート後のある日、そんなことにはまったく興味がないハズの奥さんから「そういえばスワップミートってどうだったの?」と聞かれ・・・
 思えばあそこで気付くべきでした!!ってのは後の祭りで「あぁ、まあまあだったよ」と答えちゃったんです、うかつにも。
 間髪入れず「木更津のアウトレットに家族で行こうよぉ~~」と悪魔の提案で行くハメに・・・
 ああいった場所にはこれっぽっちも魅力を感じない私としては苦痛でしかありませんでしたが家族はみんな楽しそうだったので文句言わずガマンです。


  作業の方はうかつなミスがないようにいきます。
 コチラの車両を準備して本日車検へ。

 オーナーさまだけが分かってくれれば良いので接写です。
  続いての作業車両も事情により接写です。
 リヤまわり完了させてから言われていた不調の原因を探っていきます。
 気のせいかも?というレベルでなんとなく調子が悪い感じが・・ で、完全に温まるとアイドリングでエンジンが止まることありといった内容。
  まずはプラグをチェック。
 写真よりも真っ白です。 これは点火系に犯人が潜んでいそうな気がするので点火系を見ていきます。
  点火時期自体は早めです。 出ている症状+プラグの焼けと正反対な結果というのがどうにも腑に落ちないので分解していきます。
  ポイントのヒールが完全になくなってしまっています。
  見えますかね? 写真がヘタで申しわけ。
 ポイントを交換して正規の点火時期にセットして今夜から乗らせてもらって様子を見ます。
あとは浜ちゃんSHOVELを進めています。
 プライマリーはエンジンとミッションの位置出しのために組んでいるだけなのでご心配なく。

11/13/2018

換装

 キャブレター交換・・
 文字にしてしまえば簡単な事なんですが、キャブレターによってはクリヤーしなければならない問題がいくつもあったりします。

  これまでは対応していなかった「リビルド済みリンカート」の販売を少量ながらやっていく事になり、良い機会なので簡単にご説明しますね。
 通常はこの状態での販売となるため、現状のリンカートキャブレターが不調なり、型式不適合などの理由でリンカートからリンカートへ換装といったケースであればさほど大きな問題はありません。
 ですが、S&Sキャブだったりのリンカートキャブレター以外のキャブレターから換装となるとハードルがたくさんあります。

  たとえばガスラインがゴムホースでキャブレターまでつながっている場合はここへはつなげられません。
  一番手っ取り早く安価で済ますならこのようなフィッティングを入手してもらえれば解決できます。
 純正スタイルのストレーナーもゴムホースに対応する物がコロニーなどからリリースされているのでそれを使う手もあります。



  次の問題はチョークです。
 この機構を正しく使ってあげればキック一発で掛かる個体でも、うまく使えなければ数十発キックしても掛からないという事態になるので大事です。
 これはチョークを閉めて混合気を燃焼室へ送り込んでいる状態です。
  これがチョーク全開で通常の走行モードとなります。
  車体へ組み付けた状態。
 上の画像で指で動かしている部分に針金のようなパーツが引っ掛かっているのが分かりますかね?
  それを動かすノブが車体にまたがって左側、エンジンハンガーマウントに取り付けられて左手でチョークを操作できるようになります。
  このパーツはV-TWINなどで入手可能です(ご想像どうりすんなりとはつきませんが)
  もうひとつ、スロットルケーブルの問題もあります。
 スロットルケーブルのアウターを固定しないとキャブレターのスロットルディスクを開閉できませんのでこれはサイドバルブの物ですが、こういったパーツが必要となります。
  普通のキャブで言うこの役割をする部分ですね。
  ちなみにこれは初期以外のパンヘッド用。

 そもそもリンカートはスロットルをひねるとワイヤーが押されてスロットルディスクが開く構造ですが、一般的なキャブレターはワイヤーを引っ張ってスロットルが開く構造ですよね、これが巻き取り式のスロットル車両へリンカートをつけようとすると問題となるわけです。

一応それに対応するパーツもリリースされていますが、これはどうなんでしょうかね・・・

 さらにマニフォールドも交換しなければならない車両もあると思います。
 こんなふうに書いてしまうとものすごく大変そうですが、実際はそれほどでもありません。必要なパーツが多いのでお金は掛かってしまいますが・・・ 当然初めに書いたとうりリンカートからリンカートへ・・の場合であればこのあたりの問題はありません。
 ご自身の車両の現状を把握して、しっかり準備してから換装に取り掛かることをお勧めいたします。

11/11/2018

ありがとう!!

 前もってお知らせしていたとうり今日はJet-Runへちょこっと顔を出して来ました。

  Tシャツもゲットしてきました♡
 来年はRUMBLEのお客さまといっしょに走って行ってゆっくり一泊で参加したいです。
 お二方ともお疲れさまです。
  作業の方はEVOロワーエンドの続きから。
 オイルを流してクランキング。
  あっという間にビックエンドまでオイル到達です。
  デッキ面とピストンピンブッシュの水平も。
  完了したので梱包。
 この後一気にヘッドも完了させて殺されずにすみそうです。
  続いて石川県の業者さまからのPANヘッド。
久々に手強そうな個体です。
 依頼主さまへご連絡していちばん良い方法を打ち合わせします。

 明日(日)はお休みさせていただきます、スミマセン・・・