次々送られて来るお仕事には目をつぶってしばらく手を付けず、39ELなどにどっぷりでいたのでずいぶん溜まってしまってます・・
この中でも急ぎのお仕事、業者さまからのSHOVELエンジンを進めます。
事前にお電話いただいていて、その症状は普通にキックでエンジン始動出来ていて、もちろん普通に乗れていたのに出先で突然エンストしたままエンジンがかからなくなっただけでなく、圧縮もなくなってしまったとの事。
その後いろいろ手を尽くしても一向に改善されずで、問題なさそうなトップエンドに挿げ替え交換しても、最終的にはプッシュロッドを外してしまっても圧縮がないという状況・・・
「原因わかる?」と聞かれましたが「分かりません!!」としかお答えできないまま作業に入ります。
今のところ、どうもトップエンドには原因はなさそうなので、こちらは後ほど。
さてカムカバーを・・と思ったらタイマースクリュー部のねじ山が両方イカレていて冶具がセットできません・・
あまり状態の良いエンジンではなさそうで嫌な雲行きです・・・
カバーを外して内部チェック。
ヘッドワークを必要とするほどのハイリフトカムは却下させていただきますが、それ以前にカムギヤを回すピニオンギヤは77以前の物なのに、カムギヤは77以降と、カラーコードとかの問題ではなく完全にマッチしていません。
ね、こうなります。 異常な負荷が掛かってKEYが折れてしまってます。
これではバルブタイミングが狂ってしまい、言われていた症状とつじつまが合うのですが、プッシュロッドを外しても圧縮がない・・の説明がつきません。 このせいでバルブがぶつかって、バルブが曲がっての圧縮漏れの線も、別のトップエンドに挿げ替えても圧縮が無い・・とつじつまが合わず、作業しながらブツブツブツ・・・
ひとまずロワーエンド分解完了しました。 言いにくいのですが非常に程度の悪いエンジンなので早めのカタカタチェックが必要と判断してケースを温める前の準備中。
ありゃりゃ・・まだ温めていない常温で、指だけでカタカタと・・・
泡が出ているのが分かりますかね?
ケースは交換の方向でと指示されたのでこのまま進めます。
ピニオンシャフトのKEYには不思議な加工がされています。
な~~んでこんな加工が必要だったんでしょうか???
これだけでも正確なバルブタイミングが出ないように思うんですが・・・
スプロケットシャフトのはまるテーパー部はシャフトが回ってしまったような跡があります。
シャフト側にも同様の跡が。
これも今回の症状を引き起こす容疑者Aなんですが、キックしているときにプーリーが空転していないかは確認されているとの事なのでこれも決め手にはならずブツブツブツ・・・
状況証拠は山ほどあるのですが「これ」といった物は断定できないままOHしていきます。
ビックエンド計測→最終サイズの+003オーバーでギリギリラピングで行けそうです。
フライホイールワッシャー打ち替えの前に、荒れている部分を板金修正。
ラッピングまで完了。
規定トルクにて締め込んで、狙ったサイドプレイになっているか確認します。
ピストンピンブッシュも入れ替え・リーマー仕上げして、徹底洗浄に突入です。
こういった例をたくさん見てきているので、私はお客さまにいくら高いと言われても輸入SHOVEの安いベース車両は買いません。 これ見てお客さまのご理解が得られれば良いんですが、安くても調子よい車両もあったりするのでなかなかむつかしいトコロですね。
おつかれさまでした。
11/14/2016
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿