8/29/2016

おつぎは

 HSRを書いた次はリンカートなんて実にRUMBLEらしいのですが、やっぱりこっちの方が落ち着きます。

  単体でオーバーホール依頼されたM25。
 ずいぶんとお待たせしてしまっていたのでマッハでいきます。
  リンカートはさんざんさわらせていただいていますが、このモデルは初めてかもしれないです。

 希少価値の非常に高いM25ってことで緊張します。
 こりゃセッティングが大変そうですね・・・ しかし追加工してしまったり、マッチングを変えてしまったりは気が引けるので頑張ってセッティングを出してください。
  緊張しながらも全バラくん。
  徹底洗浄+各部面研磨。
  あちこちねじ山がボロボロですね・・
  こっちも。
  リコイル修理が終わったらスロットルシャフトブッシュを入れ替え・仕上げ。
  ディスク+シャフトも新品にしてリフレッシュ。
  フロートレバーとピンのガタもきっちり取っておきます。
  ここはナットのサイズにも問題があるのですが、オーバートルクで締められているケースが多いです。 そうなると、ナットは鉄なのでキャブレター側のねじ山がやられます。 ここのねじ山が完全に壊れてしまうとボディー交換に追い込まれる確率が跳ね上がってしまうので、少しでも怪しかったら修正しておきましょう。 もちろんナットのねじ山も。
  あまりないケースですがハイスピードニードルのねじ山もイカレてます・・・
  こんなニードルを指に跡がつくぐらい無理くりねじ込んでしまうと当然ボディー側のねじ山がやられてしまいます。
  そうならないようにしっかり修正しておきます。
  アイドルニードルも同様だったのでこちらも修正してしっかり奥までスムーズに締め込めるようにしておきます。
他にもあれこれ作業して無事に完了。

 本日発送しておきました。








                      お疲れさまでした。

おまけ

 前回までの点検・整備のおまけです。
 バイクも車も日常走行していると各部消耗したり、汚れたり部品の寿命を迎えたりでいろんな整備が必要となるということは簡単に書きましたが、一方で全く乗らず、気付けば今回も前回車検取得してから一度も乗らず・・なんて車両もあると思いますが、この全く乗らず「放置」ってのがなかなかくせ者なんですね~
 長期放置というのは消耗はしませんが、車両を確実に痛めます。
 今回のこの車両はその長期放置だったので、よくある事例をいくつか・・・ 

  バッテリーを新品にしてセルボタンを押してもセルが回らない!? そんな時はここを開けて接点を磨いてキレイにするとほぼ復活します。
  「ガソリンは抜いておいたから!」とオーナーさまから言われていたものの、強烈な臭いがしていたので怪しいと思っていたキャブレター
  やっぱりね・・・
 結構な状態です。 加速ポンプのピストンもガッチリ固着してます。
  インマニのシールもぐにゃぐにゃと変質して中に出てきちゃってます・・・
  んん~~HSRのパーツなんてあったかなぁ~~
 おお~~バッチリ在庫してました!!
  ガスバルブ部もすごい事になってます。

 近代的なキャブレターはこのガスバルブシートにも番手があるので交換時には確認して同じものを使うように気を付けます。
  各ジェット・メインノズルも穴が塞がってます。
 劣化したガソリンは本当にやっかいです。 このあたりのパーツは、精度を求められる部位なので、コリコリ頑張らず、手に入る場合はできる限り新品に交換しましょう。
  スロットルバルブのO-ringも変質・変形してしまっています。
 
  最近こんなののお世話にならないとジェットの番手が読めません・・情けない・・・・
  で、全バラ→徹底洗浄して組んでいきます。
 ここは可変ベンチュリ・フラットバルブキャブの特徴的な所ですね、完全なレーシングキャブレターとして作られたFCRはこのO-ringと輪っかの代わりにミニ四駆のタイヤのようなベアリング?が採用されています。
 大きな負圧によってスロットルバルブが張り付いてしまうというフラットバルブキャブレターの弱点を補うために各メーカーのいろんな手法が見られて楽しいですね。
 このあたりの対策があまりなされていない型式だと、殺人的にスロットルが重く、そのせいでワイヤー寿命も短かったのですが、FCRやHSRなんかでは見事に改善されてます。

 ですが、FCRはレース用なので、長期間使用しているとこの部分から「カチャカチャ」と独特な音が出てきます。
 一方、ストリート用のハーレー専用設計のHSRはベアリングではなくこのシステムで異音・張り付きに対応しています。 定期的なメンテナンスは必要ですが、良くできています。
 ちなみに私はこの周辺パーツへはフッ素系のグリスを使っています(正解かは分かりません)

  どっちむきだったっけ??? なんて事態になるようなウッカリ八兵衛にも親切な作りで正しい向きにしか入らないようになっている気の利きように感心したり・・
 こんな親切なキャブばかりではないので、この手のバタフライ式ではないキャブレターのスロットルバルブ(円筒状のものも含む)はカッタウェイがエアクリーナー側へ来ます。 キャブレターの原理を考えれば分かりますよね。
  あ、そうでした。
 キャブの話ではなくって長期放置車両の整備のお話でした、ゴメンナサイ・・
 キャブがあんななら当然コックもこうなります。  こうなるとコックは大概動かないのでプライヤーでグリグリやってしまいがちですが、そうすると中のシールが切れてガソリン漏れ漏れ・・となってしまうので分解・洗浄してシリコングリスを縫って、馴染ませながら組みなおしていきます。 これが負圧コックだったり、燃料ポンプだったりするとお手上げなのでパーツ交換となります(あ~コワッ)
このあたりも分解して錆を取ってグリスアップして組みなおしておきます。

 ついついキャブレターの話になるとテンションが上がってしまう悪いクセが出てしまいましたが、長期乗らない場合はその対策も抜かりなくお願いします。  せめてガソリンだけでも・・・





                 お疲れさまでした。

8/25/2016

点検・整備

 続きです。

  「制動装置」です。
 ハーレーはリヤブレーキを多用しますのでリヤブレーキペダルをキレイにして、チェック、しっかりグリスアップするようにします。
 メカニカルドラム車両は各ロッド・リンク部の整備・ドラム内部のクリーニング。  油圧ドラム車両はこれらに加えてホイールシリンダー部のクリーニングもお忘れなく。
 
この車両は前もってOHをリクエストされていたのでキャリパー分解します。

 ディスクの摩耗がだいぶキテいるので、記録簿に書いておきます。

  パッドは残り3mmを目安に交換しています。 新品時は約6mmなので「まだ半分じゃん!」としかられそうですが、6mmから3mmまでより、残り3mmからの方が遥かに減りが早いことが理由その①。 次の車検までにどういった乗り方をされるか分からないのでというのが理由その②です。
 ブレーキフルードは湿気と熱で想像以上に酷使されているので最悪車検ごとくらいは交換してあげましょう。 とくにブレーキラインがゴムの車両はブレーキラインの寿命にも大きく影響します。
  完了。
  「走行・緩衝装置」

 エアーチェック、してますか? とっても大事ですよ。 自分がベストだと思っている空気圧から3割減ったくらいで違和感を感じるくらいでないとダメだと思います。
  意外と見過ごされがちですがフォークオイルも頑張っています。 そんなに大変ではないので交換してあげましょう。 スプリングの寿命にも影響します。
 格段にメンテナンス個所の少ないテレスコと違ってスプリンガーは大変です。 グリップの良い道路で設計時の想定をはるかに超えるスピードで走行している事をお忘れなく。
  ソフテイルのリヤサスボルトは外すのに血管がブチ切れそうになるほどですので緩みの心配は無いとは思いますが確認します。
  クラッチ・スロットルなど各ケーブルは切れて「アチャ~~」ではなく、普段から注油などしておけば切れる前に交換時期に気付けます。

 ロッカー・スーサイドクラッチ車両は摺動部の清掃・グリスアップを。

とまあこんな感じの内容になっています。
 どれも自分で出来る作業ですね。 これをサボッて壊れてしまうとSHOPのお世話にならなければならないばかりか、出費も嵩みますし、何よりも整備しながら使っていれば長~い間純正パーツを使い続けられるのですが、例えばブレーキオイルの交換を長期怠るとマスター・キャリパー交換となり、台湾製などのリプロ品になってしまうなんて事にもなってしまうので日ごろの整備は大事です。

 RUMBLEに作業依頼してくださいって話ではありません。  今までサボッていた方は愛車の整備をもう一度考え直して自分でしっかり愛情を注いであげてください。


                お疲れさまでした。

8/22/2016

車検整備

 通常は2年ごと、商用車は1年ごとに来る車検。
 納得いかないという方が殆どだと思いますが、とっても大事です。

 私もこの仕事をしていなければあれこれ文句を言っていたかもしれませんが、車検と合わせて行う事になっている法定整備は愛車に長く調子よく大事に乗りたいのであれば(年式・車種・2輪・4輪問わず)非常に重要です。
 RUMBLEのお客さまも車検取得のみで済ませている方が殆どですが、ちょっと問題アリな気がします。

  車検+整備+他リクエスト作業で入庫の93ヘリテイジ。
 この車両を作業していたら改めて感じました。
  まずは言われていたジッフィースタンドを修理します。
  常にオイルに浸かっているシステムなのでプライマリーチェーンはまったくと言っていいくらい伸びませんね。
  エンジン・ミッション・プライマリーオイルを交換します。
  フィルターも交換します。

 ついていない車両は仕方ありませんが、フィルター付き車両は毎回オイルと一緒に交換するくらいの過保護っぷりでも良いと思います。
  ここからは分解整備記録簿に沿って進めていきます。

 「かじ取り装置」の項目から。
 ステムヘッド部にどうしてグリスニップルがないんだろう??といつも思いつつ、ベアリングとグリス管理のチェック。
 前後ブレーキOHは前もってリクエストされていたのでいきなり分解です。
  タイヤ交換もリクエストされているので分解してハブベアリングのチェックもします。
 通常は車体にホイールがついた状態でホイールをゆすってガタを頼りにチェックするわけですが、よほどの状況になっていないかぎり、その方法では異常は発見できません(スターハブは除く)。
  ベアリング交換したのでディスタンス合わせも。

 バイクはホイールベアリングが焼き付くと即転倒につながる事になるので本当に危険です。
ついでにスポーク増し締め+リムの芯出し。
 スポークホイールは緩む宿命にあります。 カスタムなどで入庫した車両をお客さまから受け取って私が押そうとした瞬間に違和感を感じて車体をゆすってみたらスポークがユルユル・・なんて事も過去に何度かありました。 驚くべきことにオーナさまは気付いていないのです。

 しばらく点検整備をしながら、その作業の重要性の話を続けます。


                お疲れさまでした。

8/17/2016

じゃくてん

  これといったウィークポイントのほとんどないSHOVELではありますが、ここはウィークポイントと言えるのではないでしょうか?  のインテークシール部。

 前期のO-ringタイプの方が、ガッチリ締め込めるので私は断然前期派です。
いろいろなメーカーの物を試した結果、レッドシリコンが良いと考えていた時期もありましたが、これはゴムの劣化による裂け・割れに限っては間違いなく合格点なのですが、肝心の気密性が今一つ・・・という事に気付いてからは使っていません。
 この後期ラバーバンドは「ある程度」のところでナットを締め込むのをやめるのがコツなんですが、なんとも気持ちの良い整備ではないので今一つ好きになれません。

 今回の車両はラバーバンドを交換して二次エアによる不調は改善されました。

 二次エアを吸っているという事は燃調が薄くなるのでエンジンは当然熱を持ちますし、最悪焼き付きなんて事態になりますので以下の症状が出たら要注意です。

 エンジンの回転が落ちにくい
 スロットルパーシャル時に断続的にクシャミ「キャブからの吹き返し」が出る
 アイドリング時に突然クシャミでエンジンが止まる
 スロットルを開けた時にクシャミが出る(これは点火時期が遅い場合も出るので原因はこれ一つではありません)

 いずれにせよ、溶剤に常時さらされて、熱もかかって、いろんな力もかかるという過酷なところに使われているゴム製品なので定期的な交換は避けられないと思っていてください。

 あくまでも数少ないウィークポイントの一つですのでそんなにおおげさな事ではないんですケドね・・・

     お疲れさまでした。

8/16/2016

けっきょく

 土日月の三日間、家族は合宿で留守なので家には私一人。
 初日の土曜日はお店が定休日なので早朝に家族を送って行ってから一人で大工さんでした。

  いつもなら「やらしてやらして!!」と来るチビたちがいないので一人で良い感じ~~と満喫してたのもつかの間・・・うわさを聞きつけて友人がお酒を持って遊びに来てしまったのであとはもう・・・・

 日曜日は朝一でお客さまが来ることになっているのに大丈夫なのか??と不安になりつつ土曜日はおしまい。

  ギリギリセーフで日曜日は間に合って、車両のオーダーとおみやげもいただきました。

 午後にお約束していたお客さまからも車両のオーダーをいただきました。

 ありがとうございました。 一日でも早くお渡しできるように頑張ります!!
  51FLはシート完了です。
  ラストはフロントです。
 ドラム・スターハブはもちろん作業予定に入っていましたが、フォークまでは分解する予定ではなかったのですが、リクエストの作業の都合で分解です。
  フォークカバー取り付けリクエストなのでフォークを抜かなくてはいけないわけですが、このカバーをとめるタブが切られてしまっているのでタブ再生をしていきます。
めでたく完成。

 今週中には車検を取って名変まで完了させます。








                おつかれさまでした。